少し前のことじゃが、鎌倉市の津波シミュレーション動画が公開され、話題になっていた。おなじみの風景に津波が押し寄せる衝撃映像に恐怖していたところで、こたびの熊本地震。備えあれば憂いなしとはいうものの、暗澹たる気持ちになるのう。
そう遠くない将来に大きな地震は必ず来る。とくに懸念されているのは南海トラフ付近を震源に東海、東南海、南海地震が同時におこる連動型地震じゃ。1707年の宝永地震、1361年の正平地震、887年の仁和地震がこれにあたるらしいが、太平洋ベルト地帯を直撃するこの大地震はM8.5、津波の高さ最大12.9mと超弩級。その破壊力は関東大震災どころではない。南側を海に面している鎌倉府内は、ひとたまりもなく丸のみされてしまうんじゃ。
超弩級地震は必ず来る。かといって、鎌倉に「万里の長城」のようなスーパー堤防をつくることはできない。じゃから、まずはこうした動画で啓発し、防災減災につなげようということで、このリアルなCG映像を公開したんじゃろう。とにかく強い揺れを感じたら、迷わず「海から離れて高いところへ自分の足で避難」というのが原理原則。「津波てんでんこ」「命てんでんこ」は、三陸での古からの教訓じゃ。わが家でも、どこにどう避難するかはいちおう決めてある。
じゃが、現実問題として、もし大きな地震のときに海の近くにおったら、どこまで冷静にこのシンプルな行動をとれるじゃろうか。相模トラフが震源だったりするとわずか8分で到達するというし、観光シーズンだと避難といってもそう簡単にはいかんじゃろう。火事でも起きたら、きっとパニックじゃ。わしの愛犬たちの避難場所も、大いに気になるところじゃ。
まだまだ課題は山積。じゃが、残された時間はそれほど多くはないかもしれない。
ちなみに、わしの父・北条貞時は、正応6年(1298)4月12日、鎌倉を襲った大地震の混乱に乗じて、専横をきわめていた内管領・平頼綱を誅殺している(平禅門の乱)」。
その話はまたいずれ書くが、それにしても鎌倉北条氏、おそるべし……