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うつつなき太守(なりきりです)による歴ヲタの備忘録

わんわん党列伝〜愛犬家の偉人・犬好きの歴史人物を調べてみたU。・ェ・。U

とつぜんじゃが、愛犬家の偉人、犬好きの歴史人物といったら、みなはだれを思い浮かべるかのう? せっかくなのでまとめてみることにした。一部、愛犬家としてあやしい者もおるが、まあ、座興じゃから、そのつもりで読んでくりゃれ。

片岡鶴太郎さん演じる北条高時

片岡鶴太郎さん演じる北条高時(大河ドラマ「太平記」)

闘犬にあけくれて鎌倉幕府を滅ぼした北条高時

まずは、やっぱり、わし、北条高時じゃろう。日本全国から鎌倉に犬を集めてきては公務そっちのけで闘犬に耽溺し、とうとう鎌倉幕府をつぶしてしまったんじゃからなw わしと愛犬の雲竜の話は歌舞伎にもなっているから、知ってる人もいるじゃろう。

わしがどれだけ犬好きで幕府をつぶすに至ったかは、こちらの記事をご覧いただくとして、今日は話を先にすすめよう。

「生類憐みの令」の犬公方・徳川綱吉

徳川綱吉

歴史の教科書にも登場する犬公方といえば、徳川綱吉じゃ。母親の桂昌院が、綱吉に子ができぬことを憂いて隆光禅師に相談したところ、殺生を慎み、生き物を大事にするように献策されたとか。綱吉は戌年で、犬は多産なので、とくに保護するようにいわれ、「生類憐みの令」を発布したことはみなも知っておろう。しかも犬の登録制を導入し、虐待があれば通報させて厳罰に処したというから畏れ入る。東京ドーム20個分の広さの犬小屋を建設し、10万匹以上の犬に庶民では食べられない贅沢な食事を毎日与えていたんじゃから、日本の愛犬家ナンバーわんは、まちがいなく徳川綱吉じゃ。

綱吉の死後、「生類憐みの令」は廃止になり、日本が動物愛護先進国になるチャンスを逸してしまったことは、つくづく残念じゃよ。

愛犬に救われた御堂関白・藤原道長

藤原道長

藤原道長

平安貴族は基本的に猫派が多かったようじゃが、御堂関白こと藤原道長は犬派。白い犬をかわいがっていて、みずから散歩につれていっていたらしい。

ある日、法成寺を訪れたとき、愛犬がとつぜん吠えだし、衣の裾をくわえて門内に入ることを引き止めた。そこで安倍晴明を読んで調べさせると、その先の地中に道長呪詛のお札が埋まっていることが露見。犯人は藤原顕光に命じられた道摩法師で、後に顕光は失脚する。道長は主人思いの愛犬の嗅覚に危機一髪、助けられたわけじゃ。

愛犬にうなぎを食べさせていた「敬天愛犬」の西郷隆盛

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つぎに思い浮かべるのは「敬天愛犬」の西郷隆盛でごわす。幕末の京都で長州の連中が夜な夜な祇園やら島原やらで遊んでいたのに対し、西郷は昼間に祇園を訪れて、愛犬にうなぎを食わせてやったというほどの犬好き。愛犬のツンを連れた上野にある銅像はみなも知っておろう。

ツンについては、ダイエット目的で兎狩りをするときのお供に猟犬として飼い始めたそうじゃが、情の深い西郷のこと、その後もたくさんの愛情を犬にも注いだことは想像に難くない。西南戦争のときも犬を連れていたそうで、城山で最期のときを悟ったとき、首輪をそっとはずしてやったという逸話は涙を誘うのう。

「晋どん、もうよか……」

狆を飼いたかったけれど飼わせてもらえず猫を飼った天璋院篤姫

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薩摩といえば、天璋院篤姫さんも犬好きだったと聞く。なんでも実家では狆を飼っていて、大奥でも飼おうとしたが、夫で将軍の徳川家定が犬を怖がったため、やむなく猫を飼って我慢したらしい。

ちなみに、猫の名前は「サト姫」だそうじゃ。大河ドラマにはそんなシーンはなかったけど、まあ、犬は散歩してやらないと懐かないし、天璋院さまが犬のウンチを拾うのは想像つかんから、それでよかったのかもしれぬ……な。

上井覚兼と南蛮犬のバンくん

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薩摩は犬好きが多いんじゃろうか。戦国時代の上井覚兼という島津家家老も愛犬家として記録が残っておる。キリシタン大名の有馬晴信から島津義久へ南蛮犬が贈られ、飼い方がよくわからんからか、覚兼に下賜されたとか。覚兼はこの南蛮犬をたいそうかわいがったが、珍犬として話題になったところ、九州征伐を終えて豊後にいた豊臣秀長に「よこせ」といわれたらしい。

その後、この南蛮犬がどうなったのかは知らぬが、現代ではゆるキャラのバンくんとして、宮崎の人に愛されているぞ。

聖徳太子と賢犬・雪丸

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ゆるキャラといえば、聖徳太子の愛犬・雪丸じゃな。人間の言葉を話し、お経まで唱えることができ、「元旦に雪丸がほえると豊作になる」ともいわれていたそうじゃ。

亡骸は達磨寺に葬ってほしいと遺言を残したそうで、同寺には雪丸像も建っておる。まさに賢犬、もはや畜生などと蔑んではいかんぞ。躾けた聖徳太子も尋常ではないな。

酒井忠以と天皇から位をもらったその愛犬

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姫路の殿様、酒井忠以もたいした愛犬家じゃった。忠以は江戸藩邸に狆を飼ってたいそうかわいがっておった。

あるとき所用で京都に行くことになったのじゃが、犬たちが駕籠にまとわりついて離れない。家臣たちが引き離そうとすると噛み付いて言うことをきかない。仕方がなく品川までつれていくが、そこでも騒いで手がつけられなかったので、けっきょく上方まで連れて行くことになったというのじゃ。この噂を聞いたミカドは、畜生とはいえ主人を思う心がけは大したものだと感じ入り、犬たちは六位の位を贈られたんじゃ。そして、京都の人々の間では、こんな戯れ歌が流行ったという。

「くらひ(喰らい、位)付く犬とぞ兼てしるならばみな世の人のうやまわん」最後の「わん」がよいのう! これまた犬と殿様のなんとも心温まる話じゃ。

渋沢栄一も闘犬好き?

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近代産業の父といわれた渋沢栄一も犬好きだったようじゃ。少年時代はかなり強い犬を飼っていて、隣村の犬と喧嘩をさせていたらしい。たいそう強い犬で、負けることはなかったらしい。そのため、近所で犬を飼っている家では、渋沢栄一が来ると犬を引きこもらせたそうじゃよ。渋沢栄一も闘犬が好きだったとは意外じゃな。生きた時代が同じであれば、わしの自慢の犬たちと犬合わせをしてみたかったぞ。

ちなみに渋沢がパリ万国博へ、徳川昭武(慶喜の弟じゃ)に随行したとき、昭武はフランス皇帝から犬を贈られている。じゃが、大政奉還、戊辰戦争と国内情勢が急変。徳川昭武一行は帰国を余儀なくされ、その犬とも別れねばならなかったそうじゃ。たしか、どっかで写真をみたんじゃが、ブルドックだかマスティフだか、なかなかごっつい犬だったような記憶があるぞ。

ワンワン宰相・吉田茂

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そして「ワンマン宰相」吉田茂。もう「ワンワン宰相」といいたいくらい大の犬好きじゃったらしいぞ。サンフランシスコ講和條約を結んで帰国の途につくにあたり、つがいのケアーンテリアを買い求め、「サン」と「フラン」と名付けておる。「ブランデー」「ウィスキー」「シェリー」と名付けた犬も飼っていたとか。

スピッツ、シェパード、柴犬など、大磯の吉田邸には10頭以上の犬がいたというから、筋金入りの犬好きじゃな。テレビドラマ「少年ジェット」をみて、登場するシェパードのシェーン号の血統をほしがり、女優・若尾文子の犬がシェーン号の子を産むことを聞きつけ、譲ってもらうなど、これ、相当なマニアじゃよ。

Heil ヒットラー!!

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あのアドルフ・ヒトラーも愛犬家として有名じゃ。ヒトラーの愛犬はシェパードのブロンディ。ナチスのプロパガンダにも利用され、ブロンディはヒトラーの「動物の恋人」として、その溺愛ぶりが紹介されたりもした。愛人のエヴァ・ブラウンはブロンディが嫌いでよく虐めていたとwiki先生には書いてあったが、嫉妬心を煽るほどのヒトラーの入れ込み様じゃったのかもしれぬ。

ナチスが崩壊するとき、ブロンディもヒトラーとともに地下壕へ入った。いよいよ最期というとき、ヒトラーは青酸カリをブロンディに与え、その後、自殺した。あの世への随行を命じたのかもしれぬのう。

チャウチャウ好きだったフロイト

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ナチスに迫害されたフロイトも犬好きじゃった。はじめて飼った犬はシェパードのウルフ。その後、なぜか中国犬のチャウチャウにはまり、ジョフィと名付け、たいそうかわいがった。じゃが、あまりにも思い入れが強すぎて、ジョフィが死んだときには深刻なペットロスになったという。

その後、フロイトはチャウチャウのリュンを飼い、ナチスに追われてウィーンからロンドンへ亡命したときも、いっしょに連れて逃げている。「純粋に愛することができず、つねに愛憎半ばする関係しかつくれない人間とは違って、犬は友人を愛し、敵には噛み付く」とは、フロイトの犬への評価だが、こういう素直さというか、わかりやすさというか、純粋さというか、人間みたいに精神分析なんてめんどうくさくない犬を、フロイトは愛したんじゃろうな。足利高氏や佐々木道誉に裏切られたわしも、深く納得するところじゃよ。

ペキニーズといえば西大后

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清の西大后も忘れてはならぬぞ。愛犬は、王朝から門外不出だったペキニーズ。西太后がかわいがっていたのは王朝から門外不出、ペキニーズという犬種の標準仕様書を策定したそうじゃしな。

皇帝から寵愛を受けたペキニーズは、その葬儀で柩を墓に先導する。西太后の葬儀では、モータンという名のペキニーズがその役割を担っておる。なお、アヘン戦争の時、イギリス軍が北京の宮廷に攻め入ったとき、神聖な皇帝犬が列強の野蛮な連中の手に渡ることを嫌った連中がペキニーズを全頭処分しようとした。じゃが、奇跡的に5頭が生き残る。

歴代の英国王室の中でも屈指の愛犬家・ヴィクトリア女王

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その生き残った5頭のペキニーズを保護したのが、ヴィクトリア女王じゃ。ペキニーズが現代に種を残せたのは、ヴィクトリア女王のおかげであり、女王自身もそのうちの1頭をウィンザー城で大切に育てている。

そもそも、イギリスの歴代ロイヤルファミリーはみな、愛犬家じゃが、その中でもヴィクトリア女王は別格じゃな。ポメラニアンをはじめ、テリア、コリー、ダックスフンドなど、いろんな犬を飼って、かわいがっていたそうじゃ。じっさい、女王が犬と一緒にいる写真や絵画もたくさん残っておるしな。

しかも、この頃のイギリスは国家としても絶頂期で中産階級が出現、女王陛下の影響もあって愛玩犬を飼うことはひとつのステイタスとなり、空前のペットブームが起こったんじゃよ。

愛犬家のアメリカ大統領たち

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アメリカの歴代大統領も愛犬家が多いぞ。フランクリン・ルーズベルトは、アリューシャン列島で犬を置いてきてしまい、それを捜索したところ、「多額の税金を使って犬を捜索するとはなんだ!」と批判された。それに対してルーズベルトは、「私や妻、家族を批判するのはかまわないが、小さな犬を批判するとはどういうつもりだ。彼の小さな魂は激怒している」と言い返したとか。

リチャード・ニクソンは、疑惑をもたれたとき、「贈り物として本当に受けとり、返すつもりのないものが一つある。それは娘に贈られたコッカー・スパニエルだ」と答えたそうじゃ。

なお、バラック・オバマ大統領は、ポルトガル・ウォーター・ドッグのボーを、ロシアのプーチン大統領は秋田県のゆめを、安倍晋三総理はミニチュアダックスのロイを飼っている。やはり、わしもそうじゃったが、国家のトップ・リーダートップはその責任ゆえプレッシャーも強く、犬に癒しを求めるのは必然なのかもしれぬのう。

文豪と呼ばれる人たちの中にも犬好きは多い。志賀直哉、菊池寛、坂口安吾、川端康成らが愛犬家としてとくに知られておるが、これも当然のことといえる。わしは作家ではないが、同じ文化芸術に勤しむ者として、創作過程で行き詰まったときの苦悩はよくわかる。そんなとき、犬と散歩に出かければ、思わぬひらめきが生まれてくるものじゃからな。

ということで、明日は早起きしてウンチ袋をもって、雲竜と由比ガ浜にでも行ってくることにしようかのう。